自然界という本物に触れる日常
里山ようちえんふえっこが考える生きる力とは、非認知能力であり、広い漠然とした言葉で言うとセンスです。
認知能力とは数値化できる力のことであり、テストや成績などで順位づけできるものです。
対して、非認知能力とはその逆で、数値化できないテストや成績に反映されない感覚的な能力を言い、問題を解決したり、空想を形にしたり、人間関係を築いたり、情報を細分化したりなど自分の頭や感性で物事を捉え、自分自身の足で立って生きていくための必要な力であり、誰もが持っている能力です。
ただ、現代においてこの能力は集中して育てる対象になってなかったり、既存の教育システムの中ではあまり評価対象になりません。
この総合的に生きる力と呼ばれる非認知能力を、比較的自由度の高い幼児教育において、いかにして伸ばせられるかという課題に里山ようちえんふえっこは全力で取り組んでいます。
現代はテクノロジーが発達し我々の生活も激変しました。それに伴い、「働く」や「生きる」が再定義されようとしています。まさに、自分自身で自分の人生をどう生きるか価値観を育てていかなければならない中で、幼児期という人間形成のベースの時期に子ども達ひとり一人の生きるセンスを十二分に発揮し、自然という本物の中でたくさん遊んで、センスを磨いていってほしいです。
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自然の中で遊び学び育つ
大人や社会が子どもを喜ばせたり、楽しませたりするために人工的に作った世界から子どもたちを解放し、多様な自然界の中で自らあそびを作っていくことで感性を育みます。
圧倒的な運動量
里山ようちえんでは、幼児期の子どもにとって、一番大切なことは自らの手足を動かし、体の使い方を知っていくことだと考えています。現代では頭だけインプットするアプローチが多いように思いますが、それでは脳の発育に体がついていきません。便利になった分、不自由を体験し、自らの体で一つ一つの動作の手順を身に着けることで、ようやく自分に出来る事=器が出来てきます。
もちろん生まれながら、また後天的にも自らの体を使うことが出来ないお子様もいらっしゃいますが、そうした障がいを持たれたお子様も外で友達とドキドキ高揚したり、動く体の部位をたくさん使うことで脳の発達に繋がっていきます。適切なタイミングで晴らしい感性、能力、才能が開花したとして、それを受け止める人間的な器をどう育てるかが幼児期の最大の課題です。
自然の中での屋外保育を基本とする里山ようちえんでは、少々の小雨程度なら、子どもたちが自ら散歩に行きたがりますし、冬の寒い時期にもたき火などをして寒くなれば走り回って身体を温めることで自分たちで体温コントロールしています。
小さい頃の怪我の方が、大きな怪我に繋がりにくい
大人に比べて、身体が軽く、関節も柔らかい子どもの時期だからこそ小さな怪我で済むことも多いです。同じ手をつく怪我でも、60kgの大人と20kgもない子どもの体重を考えるとどちらが転んだときのついた手に負荷がかかるかは明らかです。小さい頃に怪我をする痛みを知っていることは、危機回避能力にも繋がっていきます。
自給しているオーガニック野菜で本物の食育
ようちえんでは、3~5歳までの子どもたちがメインですので、食育と言っても何かを教えるわけではありません。ただ、ようちえんの拠点の周りは竹岡農園の圃場で囲まれており、数々の無農薬野菜が四季折々で収穫できるようになっています。
彼らは、幼く純粋な感性で本物の食材に触れ、季節によって変化する露地野菜の味に触れ、五感を発達させていくのです。
上手くいかないことで、自分で考える
自然の中には、子どもたちが遊ぶときに様々な障がいやハードルがたくさん存在します。その障がいやハードルを認識してより楽しい遊びへと工夫することで主体的に考えることが身に付きます。
余白が多く、失敗が多いとコミュニケーション量も増える(周囲の大人や仲間との信頼関係を育む)
人工的に設計されていない遊び場での一番のメリットは余白と失敗量が非常に多いということです。
余白は時間も空間においても、子ども達が遊びを自ら生み出すために必要な発想です。退屈そうにしていても、子どもの感性は豊かです。いつの間にか葉を触って夢中になっていたり、飛んだり跳ねたり、木に登ったり、そうした余白の中で自分がやりたいことを見つけては試していく遊びを始めていきます。
また、人は簡単に上手くいったことはすぐ忘れたり、傲慢になりがちですが、自然の中での遊びではそうはいきません。どんなに運動神経が発達している子どもさんでも、川に入れば慎重になるし、虫などの生き物を捕まえたりするときには失敗をたくさん経験します。そんなときに、少人数制の里山ようちえんでは子どもたちが何を思っているか、感じていることをひとり一人と会話し、必要であれば仲間全員で一人のお子さんの感じていることを聞いて、次に進めていきます。
親御さん以外の大人(保育士)との信頼関係は、その後の社会性に大きく影響します。
子どもたち自身が周りの仲間をどう大切にしたらいいかを周りの大人から感じ取り、心の奥の方で捉えることによってその後の人生で考えるきっかけにもなっていきます。
「里山ようちえんふえっこ」の特徴
里山ようちえんふえっこでは、幼児クラスと親子クラス、そして2歳クラスの3クラスがあり、それぞれ目的や条件などが異なります。
・幼児クラス
運営方針①: 自然共育
笛路村の豊かな自然に毎日触れることにより、四季の里山の変化を肌で感じ、花のつぼみが出てきた、紅葉の色が変わった、など小さく細かな自然の変化にも気づくようになります。
これは観察力を養っています。
又、さんぽで見つけた木の枝、草花などを遊びに取り入れ、想像力を膨らませ、あるものを生かして遊びを工夫することができます。
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里山には蛇や蜂などの危険な生き物も生息していることを知り、きちんと理解して危険回避する力が身に付きます。又、自分が自然の中の一部で、生き物と共存していることを感じられる機会が多くあります。自然が先生となり、自然界の理の中で感性を養っていきます。
運営方針②: 異年齢保育
3~5歳の異年齢の子どもが毎日一緒に過ごすことで、当然3歳の子どもさん達には難しいことも5歳の子どもたちは簡単にやれてしまいます。そうした姿を見ることで下級生は上級生に対する尊敬と憧れが生まれます。これは親など子どもたちの周りの大人に対しては抱かない感情です。
また、4歳、5歳の子どもさんたちが自分たちより弱者である3歳児を気にかける状況が生まれることで他者に対する認識や理解が深まり、思いやりの気持ちが自然と育ちます。
相手の立場に立って考えて行動することで、相手のことを受け入れ、ペースを合わせて生活することができるようになり、自分に関わる様々な状況を柔軟に受け入れられるようになります。
現代は同世代だけでのコミュニティで育つ環境が多く、社会に出てから世代の違う人と関わることが難しい人も多いように思います。幼児期から、他者を深く理解していく土台を築いていくことが大切だと考えます。
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運営方針③: 少人数制
子どもさんの定員上限約10名程度のコミュニティで保育を行っています。スタッフは保育運営をする上で子どもたち一人ひとりに寄り添い、その子のペースを大切にすることができます。
活動の中で何か問題が起こったり、気持ちの面でぶつかり合うことが当然起こりますが、みんなで話し合い、全員が納得し気持ちが満たされて参加できる環境は人数が多くなればなるほどやはり難しくなります。
人数の多い環境を良しとする考え方もありますが、ふえっこようちえんでは幼児期において、人間関係の広さや人数よりもひとり一人との関係の深さを重視しています。
たくさんの人がいる集団においては、制限が多く発生していまうので、少数で周りの友人や大人たちとのコミュニケーションが多様で、安心して深く関われることが大事だと考えます。
また、人だけを見ると人数が少なく世界が狭いように感じる人もおられるようですが、自然界の多様性を含めるとはるかに膨大な出会いがふえっこでは待っています。
四季折々の動植物だけでなく、空や風、雨や雪、雷や雲、鳥やシカの鳴き声など、周りを取り巻く環境全てが彼らにとっての出会いの宝庫なのです。
人間中心の社会を考えると、たくさん競争する相手がいる方が良いのかもれませんが、我々が生きている地球環境全体との繋がりを考えると、幼児期において周囲の人間が多すぎる必要はありません。
むしろ、人間以外の多様な生態系、生き物に出会うことで子どもの世界を広げていってほしいと考えています。
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④地域やコミュニティとのつながり
ふえっこの最大の特徴は竹岡農園の栽培管理地で保育を行っているため、保護者や集落の住民だけでなくお客様や旅人、研修生など多種多様なバックボーンの人々が集まってきます。もちろん保育現場はある程度子どもたちが遊びに集中できるよう区切っていますが、子ども達は普段の自分たちのフィールドでいつもの仲間と安心して遊ぶこともあれば、散歩の時に出会う村の人と挨拶をして、田んぼや畑で遊ばせてもらったり、手仕事をおしえてもらったり、農園の大人やお客様との交流を通して広がりのある人間関係を築いていきます。
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ふえっこ一年間の活動
春・・入園式、野草料理、どろんこあそび、草木染め【写真⑩】
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夏・・川遊び、田植え、夕涼み会
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秋・・親子登山、運動会、稲刈り、お泊り保育
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冬・・たき火会、おもちつき、お別れ登山、卒園・進級式
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年間を通してお散歩、畑の手仕事、山登り、川遊び、焚火など自然遊びが盛りだくさん。
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ふえっこの一日
9:00~ 登園
おはようの会
広場、山、川などであそぼう
12:00~ おひるごはん
好きな遊び
14:00~ おやつ・絵本
15:00 さようなら
・親子クラス
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親子がまんなか
親子クラスでは、未就園児対象にお母さんとお子さんがのびのび里山で過ごし、リフレッシュできる時間を大切にしています。お母さんが元気で楽しいと子どもも楽しい、安心して過ごせる、そんな子育ての環境を大切にしています。
又、子育てで大変なお母さんたちのお悩み、お話の場ともなっておりお母さんたちのサークルのような場所です。
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季節の手仕事
お母さんたちが里山の中で仲良くなれる企画を一緒に考えます。
自分たちのやりたいことを出し合って、年間で野草料理、梅干し、干し柿、味噌づくりなど季節の移ろいを感じられる手仕事を通して楽しんでいます。
各クラス詳細
幼児クラス 正規コース
- 対象年齢 3~5歳児
- 曜日 火曜~金曜
- 保育時間 9時~15時 ※一般的な幼児の体力と、一週間のご家族と過ごす時間とのバランスで週4日となります。
※希望者は延長保育制度あり(基本的に16時まで)
※学期の始まりは慣らし期間があり、時間短縮となります。 - 場所 丹波市山南町笛路村内
- 内容 里山散歩、野外調理、制作活動、遠足、親子遠足、四季の手仕事、遊びなど
親子クラス
- 対象年齢 6か月~(首が座ったお子様から)親御さんとご一緒に。
- 曜日 金曜日
- 活動時間 10時~13時半
- 場所 丹波市山南町笛路村内
- 内容 里山での親子散歩。四季の手仕事。山・川遊び。
ご相談やお問い合わせはメールにて承ります。 magocorono.tane@gmail.com
この地で「ふえっこ」を。ふえっこ設立
都会での保育士の生活から、
丹波の中山間地域のIターン農家へ嫁ぎました。
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百姓の嫁の傍ら、何か丹波でできることはないか、
自然が豊かなところで保育ができたら、
子どもたちと里山を活かした遊びがしたいという思いから、
平成28年4月NPO法人丹のたねの元、
里山ようちえんふえっこを立ち上げました。
なぜ都会の??というより、
結婚を機にこの場所に住み、
フィールドを与えていただいたことで、
自分にできることはないか?と考えました。
そして、幼稚園に勤めている間、
砂場でずっと遊んでいる子、
用務員のおじさんについて回る子、
季節の変わり目にいち早く気がついて教えてくれる子、
(食べれる木の実や花の匂い、果物の収穫など)たちがいて、
ここで暮らすようになって、
本来人間がもっている感性というか、
意識せずに行ってきたことが、
子どもたちはもっているんだ、
畑で土を触る機会が増えて、
砂遊びが好きな理由(自分自身が落ち着く)がわかったような気がしました。
こどもたちの本来もっている感性、
ありのままの人間らしい姿、
ここでならこどもたちがそういう風に育っていってくれるのではないか、
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また、ここには里山の大自然のすばらしい教材、
笛路村の温かい住人の方々、この地域資源があり、
それをを活かした保育をすることができたらという思いからです。
あとは、自分自身で
「さあ!私がやってみたいから、やるよ!!」
という感じで始めたのではなく、
この場所と、来てくれる子どもたちがいたから、
始めてみようか?
という感じがスタートです。
親子保育から始めたのは、
子どもが楽しい、と感じるにはまずお母さんが、安心して楽しんで、のんびりすごしてもらうことが大切なんじゃないか?と思い、お母さんと子どもとで、一緒に楽しむ親子保育としようとおもったからです。
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