里山楽校を設立して2年。
小学部の子供たちの凄まじい成長を目の当たりにして、子どもたちが成人する段階において、

〇自分の道が決められること

〇その道を進む上で壁や課題と向き合い、乗り越えていける精神的・肉体的強さの獲得

〇利他的思考による気づきを得る人間

を目指して、日々の日常活動の設計、年間行事予定を設定してきました。

具体的には、

圧倒的な運動量で身体感覚を養い、遊びを主軸とした活動で感性を伸ばす。

を行っています。
多様な自然環境下で身体を思いっきり動かすことは、身体感覚を研ぎ澄ましながら、脳の神経回路をたくさん繋げていきます。
同時に、異年齢の友達と楽しく遊ぶために様々なことに注意し、ルールを作り、人間関係ができ、自分と他者の心に触れて成長していきます。

里山楽校では、子ども達が心も体も発達し、自分で自分のことが決められるようになる成人の段階において、自分の道を進めるだけの体力を含めたフィジカル面の強さと、未知の領域にも対応していける感覚の経験値を日々積み重ねていく場所です。

里山楽校ふえっこは、子どもたちに一人の人間として、本人の意思を問う

場所です。
それは、おそらく一般的な学校の宿題や答えのあるテスト、これをすれば周りが喜んでくれるなどと言った種類の難しさではなく、人間力として自分の意思を持ち周りと調和していくための試練になります。
子どもたち一人一人が、年齢に応じてどんな表現方法でも良いので、まずは自分はこう思うと本音で話せる場所を1学期で作っていきます。

運営方針① :遊びを主軸にした活動

遊ぶことは自分を満足させることです。友だちと遊ぶことは自分も、友だちも満足できることです。
自分も周りもやりたいこと、満足させられることを見つけ、創造し、没頭していく中で、他者の呼吸やリズムも感じられます。そうした自分を全開で出せる場所での人間関係に損得勘定はありません。
人は遊びの中で互いを知り、遊びの中で相手と仲良くなっていくもんなんだと気づくことが大切だと考えます。

さらに、遊びにおいては失敗がつきものです。
やりたいこと、こうしたいイメージのズレを何度も経験し、失敗こそが大切な経験、失敗してもまたチャレンジすることが重要なのだと、膨大な時間をかけて気づいていきます。

運営方針② :自然豊かな里山での活動

多様な自然環境下で自分の興味関心を高めると共に、四季折々の空気、太陽、植物など生態系に触れて自分の感覚を鍛えていきましょう。
身体機能を上げていくだけでなく、脳の処理量を増やし、物事を思考するベースを作っていきます。
自然界は自分の思い通りにはいきませんから、その日その時の状況に合わせて、「自分を変えていく」または「工夫」していく方向に思考のベクトルが向いていきます。
危機回避能力や、問題解決能力など学力テストでは測れない非認知能力を使う機会がたくさんあります。

運営方針③ :少人数、異年齢

里山楽校は1年ごとに締めくくっていきますので、年によって人数の多い年も少ない年もあると思いますが、全員がみんなと話せるサイズ感に調整しています。
また異年齢が合同で集団活動をすることによって、先輩後輩関係ができ、上のお子さんが下の年齢のお子さんを気にして、どうやれば楽校活動を潤滑に行えるかを子どもたちにも考えてもらいます。
そうした意味において、子どもたち一人ひとりが自然に役割を持ち、自分の役割を果たしていくことで主体的に楽校活動に参加していくことになります。

運営方針④ :コミュニティで子どもたちを育てる

親御さんと離れて、主体的に活動に参加する環境を作っていくことで子どもの世界が育っていくのですが、親御さんたちと子どもの世界が完全に切り離されないよう年間行事計画できっかけを作っています。
親や楽校スタッフの大人だけと関わるだけでなく、出来るだけ色んな大人たちを見て、知って、話すこと、出会っていくことが重要です。それは一定の年齢で自分から外の世界を知っていく上で自信や安心に繋がりますし、何より子どもたちが大人になっていく過程で相談できる大人の存在が、ご家庭や楽校以外にもあったら豊かだなと思います。

また、自分が成人して大人になってからも、里山楽校の活動に大人として戻って来れるイメージを育てています。

運営方針⑤ :楽校活動としての幅を持たせる

楽校活動は、仲良しの子供どうしが公園などで遊んでいる感覚とは一線隔した内容であるべきだと考えています。
行事などが分かりやすい例で、70㎞歩行をやったり、自分たちでマーケットを作るマルシェを実施したりなど、活動だからやれた、新しい自分に出会えたなどの経験ができるようなものを試行錯誤しています。

活動の課題が大きければ大きいほど一緒に活動する仲間や友人と協力していきますし、ネットワークを作る重要性に気づいていきます。

日常活動について

※日常活動の流れは毎年のスタッフ体制で吟味しているので、変更されている場合があります。

9:00   所定の場所に集合
       登校
9:30   農作業
10:30   朝の会 アイスブレイク
11:00   全体遊び 鬼ごっこなど

12:00   昼休憩
13:00   プロジェクト
14:15   掃除・整頓
14:30   終わりの会 振り返り
15:00   下校

※リーダーは17時まで放課後利用可。

年間行事計画

4月   リーダー研修
5or6月  リーダー考案による遠足
7or8月  夜のピクニック
8月   ふえっこマルシェ
9月   修楽旅行プロジェクト開始
10月   ふえっこ運動会(里山ようちえん合同)
11月   リーダー考案による遠足
12月   ふえっこ収穫祭
1月   リーダー考案による遠足
2月   閉校式
3月   リーダー引き継ぎキャンプ

行事案内

夜のピクニック

1学期にいっぱい遊んできた成長を確かめる歩行祭イベントです。
1泊2日で50~100㎞を歩ききります。
リーダーウォーク、ナイトウォーク、ラストウォークの3区画で構成されており、年齢や個性に応じて歩く距離が設定されます。
場所は毎年変わるので、決まったコースはありません。
足が棒のようになってきますが、仲間とならリタイアせず頑張れるお子さんが多いです。

ふえっこマルシェ

ふえっこのコミュニティ全体でマーケットを作り、外部のお客様を呼び込んでお店を出店し、ステージを魅せる夏のお祭りです。
特にリーダーが中心となって、チラシの作成や設営などマルシェの企画運営全般に関わります。
2学期から始まる修楽旅行の旅費もリーダーたちはふえっこマルシェにて稼ぐ目的もあります。

ふえっこ運動会

親子クラス、2歳クラス、里山ようちえん、里山楽校の子どもたち全体で行う大運動会です。
親御さんたちにも参加して頂き、コミュニティ全体で育つ実感を持って頂けるよう設定しています。
楽校のお子さんたちは参加するだけでなく設営のお手伝いなどの役割を担って頂きます。

1年を締めくくる閉校式

楽校活動の1年を締めくくる閉校式。
リーダーたちを中心に閉校式の構成を吟味し、みんなで練習して作り上げます。
今年度卒業する子ども達はこの場でこれからの人生の抱負や、楽校を卒業する意思をみんなに伝えて区切りをつけていきます。

以下、里山楽校の運営における参考知識

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