ふえっこ共育活動の前提的な考え方は、こちらのリンクからご覧ください。
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ふえっこ楽校の活動

楽校活動を通して、子ども達と関わる際に以下のポイントを重視してスタッフは子ども達と関わっています。

〇自分の道が決められること(自分を信じられる)

〇その道を進む上で壁や課題と向き合い、乗り越えていける精神的・肉体的強さの獲得(日常活動における反復活動の重要性)

〇利他的思考による気づきを得る人間(視野の広さ)

上記の目標に向かって日々の活動の中で刺激し合える関係性を育んでいます。
日常活動のベースとなるのは、

圧倒的な運動量で身体感覚を養い、遊びを主軸とした活動で感性を伸ばす

ことです。
毎朝のルーティンになっている農作業や、森の中での鬼ごっこ、週一の山登りなど、
多様な自然環境下で身体を思いっきり動かすことは、身体感覚を研ぎ澄ましながら、脳の神経回路をたくさん繋げていきます。
同時に、異年齢の友達と楽しく遊ぶために様々なことに注意し、人間関係ができ、バランスをとり、自分と他者の心に触れて成長していきます。

こうした日常活動を通して、子ども達が心も体も発達し、自分で自分のことが決められるようになる成人の段階において、自分の道を進めるだけの体力を含めたフィジカル面の強さと、未知の領域にも対応していける感覚の経験値を日々積み重ねていくことで一人一人の生きる力を育てていきたいと考えています。

子どもたちに自分の意思を問う

一般的な学校の宿題や答えのあるテスト、これをすれば周りが喜んでくれるなどと言った種類のやりとりではなく、一人の人間として自分の意思を持ち、周りと調和していくための活動となります。
子どもたち一人一人が、年齢に応じてどんな表現方法でも良いので、まずは自分はこう思うと本音で話せる場所を1学期で作っていきます。

運営方針① :遊びを主軸にした活動

遊ぶことは自分を満足させることです。友だちと遊ぶことは自分も、友だちも満足できることです。
自分も周りもやりたいこと、満足させられることを見つけ、創造し、没頭していく中で、他者の呼吸やリズムも感じられます。そうした自分を全開で出せる場所での人間関係に損得勘定はありません。
人は遊びの中で互いを知り、遊びの中で相手と仲良くなっていくものだと気づくことが大切だと考えます。

さらに、遊びにおいては失敗がつきものです。
やりたいこと、こうしたいイメージのズレを何度も経験し、失敗こそが大切な経験、失敗してもまたチャレンジすることが重要なのだと、膨大な時間をかけて気づいていきます。

運営方針② :自然豊かな里山での活動

多様な自然環境下で自分の興味関心を高めると共に、四季折々の空気、太陽、植物など生態系に触れて自分の感覚を鍛えていきましょう。
身体機能を上げていくだけでなく、脳の処理量を増やし、物事を思考するベースを作っていきます。
自然界は自分の思い通りにはいきませんから、その日その時の状況に合わせて、「自分を変えていく」または「工夫」していく方向に思考のベクトルが向いていきます。
危機回避能力や、問題解決能力など学力テストでは測れない非認知能力を使う機会がたくさんあります。

運営方針③ :少人数、異年齢

里山楽校は1年ごとに締めくくっていきますので、年によって人数の多い年も少ない年もあると思いますが、全員がみんなと話せるサイズ感に調整しています。
また異年齢が合同で集団活動をすることによって、先輩後輩関係ができ、上のお子さんが下の年齢のお子さんを気にして、どうやれば楽校活動を潤滑に行えるかを子どもたちにも考えてもらいます。
子どもたち一人ひとりが自然に役割を持ち、自分の役割を果たしていくことで、主体的に楽校活動に参加していくことになります。

運営方針④ :コミュニティで子どもたちを育てる

親御さんと離れて、主体的に活動に参加する環境を作っていくことで子どもの世界が育っていくのですが、親御さんたちと子どもの世界が完全に切り離されないよう年間行事計画できっかけを作っています。
親や楽校スタッフの大人だけと関わるだけでなく、出来るだけ色んな大人たちを見て、知って、話すこと、出会っていくことが重要です。それは一定の年齢で自分から外の世界を知っていく上で自信や安心に繋がりますし、何より子どもたちが大人になっていく過程で相談できる大人の存在が、ご家庭や楽校以外にもあったら豊かです。

また、自分が成人して大人になってからも、里山楽校の活動に大人として戻って来れるイメージを育てています。

運営方針⑤ :楽校活動としての幅を持たせる

楽校活動は、仲良しの子供どうしが公園などで遊んでいる感覚とは一線隔した内容であるべきだと考えています。
行事などが分かりやすい例で、70㎞歩行をやったり、自分たちでマーケットを作るマルシェを実施したりなど、活動だからやれた、新しい自分に出会えたなどの経験ができるようなものを試行錯誤しています。

活動の課題が大きければ大きいほど一緒に活動する仲間や友人と協力していきますし、ネットワークを作る重要性に気づいていきます。

日常活動について

※日常活動の流れは毎年のスタッフ体制で吟味しているので、変更されている場合があります。

9:00   所定の場所に集合
       登校
9:30   農作業
10:30   朝の会 アイスブレイク
11:00   全体遊び 鬼ごっこなど

12:00   昼休憩
13:00   主体活動の時間:内容は子ども達各々で決める
14:15   掃除・整頓
14:30   終わりの会 振り返り
15:30   下校

※リーダーは17時まで放課後利用可。

イケてる大人(地域住民が講師となって子ども達に何かを教える企画)

年間行事計画

4月   リーダー研修
5or6月  リーダー考案による遠足
7or8月  夜のピクニック
8月   ふえっこマルシェ
9月   修楽旅行プロジェクト開始
     リーダー:社会実習の企画を開始
10月   ふえっこ運動会(里山ようちえん合同)
11月   球技大会
     リーダー考案による遠足
12月   社会実習:資本主義社会の原理に乗って資本で人を喜ばせる企画を作る
     ふえっこ収穫祭
1月   リーダー考案による遠足
2月   閉校式
3月   リーダー引き継ぎキャンプ

職業体験:13歳(中学生)からの特別カリキュラム

目的 :仕事とは何かを知るきっかけ、考えるきっかけを創出する。社会活動をしていくためのベースを作る。
頻度 :毎週曜日を決めて1日。
内容 :竹岡農場グループの現場の中で自分に合う職場を選び、仕事を通して社会経験を積む。受け入れ参画企業募集。
キャリアアップ :職業体験は一年の見習い、技術習得期間を経て、二年目から子ども達の労働に対し工賃を支払う。三年目で職業体験を終了し、自分の興味関心のある分野へ就職、進学を決める。

行事案内

夜のピクニック

1学期にいっぱい遊んできた成長を確かめる歩行祭イベントです。
1泊2日で50~100㎞を歩ききります。
リーダーウォーク、ナイトウォーク、ラストウォークの3区画で構成されており、年齢や個性に応じて歩く距離が設定されます。
場所は毎年変わるので、決まったコースはありません。
正直とてもしんどいですが、一緒に遊んできた仲間とならリタイアせず頑張れるお子さんが多いです。

ふえっこマルシェ

現代におけるビジネスではなく、東洋的な「商い」を作る夏のイベントです。ふえっこのコミュニティ全体でマーケットを作り、外部のお客様を呼び込んでお店を出店し、ステージを魅せます。
楽校では、特にリーダーが中心となって、チラシの作成や設営などマルシェの企画運営全般に関わります。
リーダーたちは、2学期から始まる修楽旅行の旅費や社会実習の原資をふえっこマルシェにて稼ぐ目的もあります。

ふえっこ運動会

親子クラス、2歳クラス、里山ようちえん、ふえっこ楽校の子どもたち全体で行う大運動会です。
親御さんたちにも参加して頂き、コミュニティ全体で育つ実感を持って頂けるよう設定しています。
楽校のお子さんたちは参加するだけでなく設営のお手伝いなどの役割を担って頂きます。

社会実習

ふえっこマルシェでのドネーションをリーダーに預け、「人を喜ばせる企画」として、子ども達でサービス・商品を生み出して頂きます。
資本を使って、価値を生み出し、世の中の人を喜ばせる=経済活動を、ふえっこ楽校の仲間全員で取り組む、活動の最終段階となります。
本来は13歳以上の子ども達で取り組んでもらいたい内容なのですが、現時点では10歳以上の子ども達でチャレンジしてもらっています。

1年を締めくくる閉校式

楽校活動の1年を締めくくる閉校式。
リーダーたちを中心に閉校式の構成を吟味し、みんなで練習して作り上げます。
今年度卒業する子ども達はこの場でこれからの人生の抱負や、楽校を卒業する意思をみんなに伝えて区切りをつけていきます。

ふえっこ楽校 校長 清水まゆこよりご挨拶

ふえっこ楽校 校長 清水真有子です。

ふえっこ楽校にくると、いつも「あぁこれでいいんだな」と思うのです。

ここにあるのは、豊かな自然だけです。そして、そこに集まる大人、子ども、様々な人たち。それらのつながりの中に自分がいる。それだけなのに、その環境は、子ども達に多くの気づきを与え、それが学び、成長、変化へと繋がっていくのです。

そして、それは我々大人にも同様のことを起こさせるのです。

 私がふえっこ楽校に関わり、2年半が過ぎました。2年半前の立ち上げ当初。実は私は、現役の公立中学校教員でした。当時、2人目の育休中で、このまま現場に復帰するのか、迷っていました。それを知ってか知らずか、現役教員である私に「まゆこさん、先生やめますよね、実はふえっこ楽校を作りたいのです。手伝ってほしい」と突然オファーがきたのです。私は驚きと同時に少し興奮にも似たワクワクの気持ちがあふれ、気づいたら「やります」と即答していました。もともと娘がふえっこ幼稚園に0歳の時からお世話になっていたのもあり、その恩返しの気持ちもありました。

そして、立ち上げ1年目。スタッフと試行錯誤しながら楽校を作っていきました。初めてのことばかり。何度も何度も話し合い、この環境の中で子どもたちと過ごして行く中で、私の中に、大きな気づきと、そして、今までの自分自身の価値観、教育観の崩壊、手放しが起きたのでした。そして、ふえっこ楽校2年目に20年間務めた公立学校教員を卒業しました。

 私の中に起きた崩壊は、自分が見てきた世界の狭さと、知らぬ間に枠の中に押し込める自分自身がいたという事でした。そして、なによりもここに教育の原点を見、そして、ここにこれからの教育への大きな可能性を見たからでした。今の公立学校ではやりたくてもなかなかできない教育。子どもたちの、そして関わる大人たちの学び、成長、がここではできると感じたからです。

ここには作りこまれた何かやカリキュラムはありません。むしろあえてなにもないのです。ただ自然があり、仲間がいるだけです。今日は何が起きるのか、今日はどんな風が吹くのか、今日はどんな出逢いがあるのか、わかりません。変わり続ける自然の中で、わからないからこそ、決まっていないからこそ、自分たちで作っていける。それがむしろ面白い。その感覚が育っていきます。

我々はどうしても正解を求め、正解を与えてしまいがちです。しかし、そこには何の失敗も気づきも成長もありません。だけど、ここでは正解を見つけるのではなく、自分たちでやってみる、失敗する、発見する、気づく。そこから正解を作っていくのです。

この2年半、子ども達と過ごす中で、「わからないことが面白い」「わからないからやってみたい」そんな発言を何度も聞きました。ともすれば、わからないことは悪であり、怖いこと思われがちですが、自然の中で遊び、学ぶ子どもたちは、わからないことが当たり前で、それがどれほど面白く、自分たちの知りたいを引き出すのか、好奇心を引き出すのかを知っています。それは人間関係においてもです。

ふえっこ楽校の日々は、農作業やみな遊び、毎週登山、決して楽なものではありません。異年齢であるため鬼ごっこひとつするだけでも毎回もめます。そのたびに、話し合い、けんかもするし、すねる子もいます。まぁいろいろあります。だけど、子どもたちは失敗を重ねながら、どうしたら面白くなる?と考えます。子どもたちが自分から課題や問題に関わっていくしかないのです。ここでは先生はいません。自然が先生です。私たち大人ができることは子どもたちを見守るだけです。彼らの主体を奪わないことです。

長年教師をしてきた私はどうしても口を出したくなる時もあります。が、今はそれをぐっと抑えて見守っています。私も時には失敗もありながらも、日々、気づき、学び、成長、変化し続けています。

ふえっこ楽校は「みんなでつくる遊びの楽校」です。

みんなで作っていく楽校です。遊びの中に学びがあるのです。

みんな、とは、子どもたちだけでなく、私たち大人もです。

関わる私たち大人も自身の価値観を疑い、成長していくことがより、子どもたちの無限の可能性や才能を引き出していくのだと信じています。

ふえっこ楽校はこれからも進化しづづけていく楽校です。自然に子どもたちに多くの学びをもらいながら、私自身も変わり続けていきます。

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