ふえっこ共育活動の前提的な考え方は、こちらのリンクからご覧ください。
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自分の人生における「陰」の受け入れ方を学ばず悟る
これは、「易」の考え方ですが、自然の摂理が陰陽(闇と光、寒さと暑さ、-と+、下と上、女と男、弱さと強さ、悪いことと良いことなど)で成り立っており、人の人生も自然の摂理と同様に陰陽で考え、人生の流れに沿った生き方をすることが大切です。
そして、人生の陰陽で捉えると、勢いがあり、楽しかったり嬉しいことがたくさんある陽の時代は大半の人が大歓迎しますが、陰の時代、苦しかったり大変だったりすることを喜ばしいことだと捉える人はまず少ないように思います。しかし、この陰の時代こそが大切で、ここでしっかりと人間として成長し、心を磨いた人間が、陽の時代に入っても自分を見失わず、強い光の中でも自分で立っていられる人格形成を果たすことが出来るのだと思います。
陰の部分にどう向き合い、受け入れ、自己変革し、自分の人生にとっての意味を見出せることが自立や自律に向かっていく成長過程で重要な節目であり、ふえっこ楽校活動においてもそうした心の葛藤や気づきを重要視しています。
昨今、しんどいことはしなくていいんだ、無理をしないという考え方に偏り、責任感も十分に無いまま安易に子どもに意思決定をさせたり、それをとにかく受容していくことを肯定した非常に母性的な発想の関わり方が強いように感じています。
この世界は男性性と女性性が溶け合うことによって成り立っています。
自然界や宇宙における男性性と女性性だけでなく、実際の人間においては男性の中にも女性性はありますし、女性の中にも男性性が育っていきます。
双方は対立するものではなく、全く異質の性質であるからこそこの世界に必要であり、人生においても双方をバランスよく取り入れ、成熟させていくことが人生をより豊かにしていく上で非常に大切な視点です。
脱線しましたが、子ども達が集団で活動していく上で、陰(困難なこと、地道なこと)からスタートし、陽(結果が出る、目標を達成する)に至るプロセスを通る中で、様々な心の成長や個性を伸ばしていくのを見守りたいと考えています。
我々の共育活動の目標は、いずれ子ども達が大人になり社会的に自立したときに、陰的事象を避けるのではなく、積極的に陰を取り入れ、心を磨くという意味で大きな悦びに生きていける人材を一人でも多く育てていくことです。

ふえっこ楽校の活動目標
〇自分の道が決められること(自分や他者、生きている世界を知る)
〇その道を進む上で壁や課題と向き合い、乗り越えていける精神的・肉体的強さの獲得(日常活動における反復活動の重要性)
〇利他的思考による気づきを得る人間(不安や恐怖心に縛られることなく、本来の自分を生きていく力を養う)
上記の目標に向かって日常の活動を行っています。
日常活動のベースとなるのは、
圧倒的な運動量で身体感覚を養い、遊びを主軸とした活動で感性を伸ばす
ことで、自分の身体が成長していくことの体感を充分に感じていきます。
毎朝のルーティンになっている農作業や、森の中での鬼ごっこ、週一の山登りなど、
多様な自然環境下でコミュニティの中での自分の出来る役割を担いながら、身体を思いっきり動かして活動することで身体感覚を研ぎ澄ましながら、脳の神経回路をたくさん繋げていきます。同時に、仲間との遊びの中で心が満たされ、好奇心のままに人生に必要な本質的なことを自然界から学んでいきます。
頭を先行させる教育方法ではなく、しっかりと身体を動かし、感じたことをベースとした体感ベースの思考習慣を身に着けていきます。






一週間のスケジュール(流れ)
火曜日~木曜日 :日常活動の曜日
8:00 所定の場所に集合・登校
9:30 農作業
10:30 朝の会
11:00 皆遊び 鬼ごっこなど
12:00 昼休憩
13:00 主体活動の時間:内容は子ども達各々で決めて、興味関心のあることで過ごす
14:15 掃除・整頓
14:30 終わりの会 振り返り
15:30 下校






金曜日 :イケてる大人の授業(地域住民との交流カリキュラム)
助産師さんによる性教育、太鼓の先生、イカダやカヌー遊び、野草博士マリオさんなど様々な地域住民の方の参画を募集し、子ども達に繋げていきます。
月曜日(希望者のみ) :オッケータイム(自主学習の時間) 読み書きそろばんと言った基本的な学習を教育系youtuberのオッケー先生にご指導頂きながら取り組んでいます。
年間行事計画
4月 リーダー研修
5or6月 リーダー考案による遠足
7or8月 夜のピクニック
8月 ふえっこマルシェ
9月 修楽旅行プロジェクト開始
リーダー:社会実習の企画を開始
10月 ふえっこ運動会(里山ようちえん合同)
11月 球技大会
リーダー考案による遠足
12月 社会実習:資本主義社会の原理に乗って資本で人を喜ばせる企画を作る
ふえっこ収穫祭
1月 リーダー考案による遠足
2月 閉校式
3月 リーダー引き継ぎキャンプ
職業体験:13歳(中学生)からの特別カリキュラム
目的 :社会参画していく中で、自分がどんな役割を担っていくのかを考えるきっかけ作り。
頻度 :毎週木曜日。金曜日は選択制
内容 :農場内の仕事をベースに、賛同してご協力頂ける地域の職場に継続的に関わる。
行事案内
夜のピクニック
1学期にいっぱい遊んできた成長や友だちとの友情を深める歩行祭イベントです。
1泊2日で10歳以上は約80km、10歳未満の小学生は1日で30km以上を歩きます。
ふえっこマルシェ
現代におけるビジネスではなく、東洋的な「商い」を作る夏のイベントです。ふえっこのコミュニティ全体でマーケットを作り、外部のお客様を呼び込んでお店を出店し、ステージを魅せます。
楽校では、特にリーダーが中心となって、チラシの作成や設営などマルシェの企画運営全般に関わります。
リーダーたちは、2学期から始まる修楽旅行の旅費や社会実習の原資をふえっこマルシェにて稼ぐ目的もあります。
ふえっこ運動会
親子クラス、2歳クラス、里山ようちえん、ふえっこ楽校の子どもたち全体で行う大運動会です。
親御さんたちにも参加して頂き、コミュニティ全体で育つ実感を持って頂けるよう設定しています。
楽校のお子さんたちは参加するだけでなく設営のお手伝いなどの役割を担って頂きます。
社会実習
ふえっこマルシェでのドネーションをリーダーに預け、「人を喜ばせる企画」として、子ども達でサービス・商品を生み出して頂きます。
資本を使って、価値を生み出し、世の中の人を喜ばせる=経済活動を、ふえっこ楽校の仲間全員で取り組む、活動の最終段階となります。
本来は13歳以上の子ども達で取り組んでもらいたい内容なのですが、現時点では10歳以上の子ども達でチャレンジしてもらっています。
1年を締めくくる閉校式
楽校活動の1年を締めくくる閉校式。
リーダーたちを中心に閉校式の構成を吟味し、みんなで練習して作り上げます。
今年度卒業する子ども達はこの場でこれからの人生の抱負や、楽校を卒業する意思をみんなに伝えて区切りをつけていきます。
ふえっこ楽校 校長 清水まゆこよりご挨拶
ふえっこ楽校 校長 清水真有子です。

ふえっこ楽校にくると、いつも「あぁこれでいいんだな」と思うのです。
ここにあるのは、豊かな自然だけです。そして、そこに集まる大人、子ども、様々な人たち。それらのつながりの中に自分がいる。それだけなのに、その環境は、子ども達に多くの気づきを与え、それが学び、成長、変化へと繋がっていくのです。
そして、それは我々大人にも同様のことを起こさせるのです。
私がふえっこ楽校に関わり、2年半が過ぎました。2年半前の立ち上げ当初。実は私は、現役の公立中学校教員でした。当時、2人目の育休中で、このまま現場に復帰するのか、迷っていました。それを知ってか知らずか、現役教員である私に「まゆこさん、先生やめますよね、実はふえっこ楽校を作りたいのです。手伝ってほしい」と突然オファーがきたのです。私は驚きと同時に少し興奮にも似たワクワクの気持ちがあふれ、気づいたら「やります」と即答していました。もともと娘がふえっこ幼稚園に0歳の時からお世話になっていたのもあり、その恩返しの気持ちもありました。
そして、立ち上げ1年目。スタッフと試行錯誤しながら楽校を作っていきました。初めてのことばかり。何度も何度も話し合い、この環境の中で子どもたちと過ごして行く中で、私の中に、大きな気づきと、そして、今までの自分自身の価値観、教育観の崩壊、手放しが起きたのでした。そして、ふえっこ楽校2年目に20年間務めた公立学校教員を卒業しました。
私の中に起きた崩壊は、自分が見てきた世界の狭さと、知らぬ間に枠の中に押し込める自分自身がいたという事でした。そして、なによりもここに教育の原点を見、そして、ここにこれからの教育への大きな可能性を見たからでした。今の公立学校ではやりたくてもなかなかできない教育。子どもたちの、そして関わる大人たちの学び、成長、がここではできると感じたからです。
ここには作りこまれた何かやカリキュラムはありません。むしろあえてなにもないのです。ただ自然があり、仲間がいるだけです。今日は何が起きるのか、今日はどんな風が吹くのか、今日はどんな出逢いがあるのか、わかりません。変わり続ける自然の中で、わからないからこそ、決まっていないからこそ、自分たちで作っていける。それがむしろ面白い。その感覚が育っていきます。
我々はどうしても正解を求め、正解を与えてしまいがちです。しかし、そこには何の失敗も気づきも成長もありません。だけど、ここでは正解を見つけるのではなく、自分たちでやってみる、失敗する、発見する、気づく。そこから正解を作っていくのです。
この2年半、子ども達と過ごす中で、「わからないことが面白い」「わからないからやってみたい」そんな発言を何度も聞きました。ともすれば、わからないことは悪であり、怖いこと思われがちですが、自然の中で遊び、学ぶ子どもたちは、わからないことが当たり前で、それがどれほど面白く、自分たちの知りたいを引き出すのか、好奇心を引き出すのかを知っています。それは人間関係においてもです。
ふえっこ楽校の日々は、農作業やみな遊び、毎週登山、決して楽なものではありません。異年齢であるため鬼ごっこひとつするだけでも毎回もめます。そのたびに、話し合い、けんかもするし、すねる子もいます。まぁいろいろあります。だけど、子どもたちは失敗を重ねながら、どうしたら面白くなる?と考えます。子どもたちが自分から課題や問題に関わっていくしかないのです。ここでは先生はいません。自然が先生です。私たち大人ができることは子どもたちを見守るだけです。彼らの主体を奪わないことです。
長年教師をしてきた私はどうしても口を出したくなる時もあります。が、今はそれをぐっと抑えて見守っています。私も時には失敗もありながらも、日々、気づき、学び、成長、変化し続けています。
ふえっこ楽校は「みんなでつくる遊びの楽校」です。
みんなで作っていく楽校です。遊びの中に学びがあるのです。
みんな、とは、子どもたちだけでなく、私たち大人もです。
関わる私たち大人も自身の価値観を疑い、成長していくことがより、子どもたちの無限の可能性や才能を引き出していくのだと信じています。
ふえっこ楽校はこれからも進化しづづけていく楽校です。自然に子どもたちに多くの学びをもらいながら、私自身も変わり続けていきます。