遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます。
竹岡農園百姓の竹岡です。
昨年まで新規事業や既存事業などでまともに自分のことを書くことが出来ていませんでしたが、今年から現在の自分が思っていることなどをブログを通じて更新していきたいと思っています。
どうぞよろしくお願い致します。
アイキャッチ画像は年末の忘年会にて。
きみちゃんが居ませんが、諸事情でこの日は留守でした。元気にやってます。
今日のブログ内容に合う写真が無く、こちらの画像になってますんで、内容とは全く関係ありません。
さて、先日自分がまだFBを更新していた頃に繋がっていた方はご存じの丹波石の親方のところへ新年のご挨拶に伺ってきました。
コロナが始まってから、脳梗塞で倒れられて入院生活からリハビリを続けられ、見事に杖をつきながらではありますが、日常生活に戻っておられます。
脳梗塞をされた方でこんなに復活された方を自分は見たことがありません。
昨年からまた石を出しておられるようで、ちょこちょこご連絡は頂いていて、色々と気持ちをもらっています。
ちょっとした用事でご自宅にお伺いしたのですが、少しゆっくりお話しすることが出来ました。
親方と出会ったのは、早7、8年前村の方の庭に丹波石を張られていたときにたまたま村の方への用事で出会い、石をハンマーだけで割る技術がおもしろそうでずっと見ていたら、「ほらやってみ」と、ハンマーを渡されたのが一番最初でした。
その当時は自分もまだこんなに事業をしていなくて、農業の方も農閑期は十分遊べたので忙しくないときに、石切りの現場に遊びに行くようになりました。
丹波石は濡れると表情を変える本当に綺麗な石で、よくこの辺ではお風呂屋さんの屋外露天風呂などに張られています。
濡れても滑らないので安全です。
親方に、「センスはあるな」と言ってもらい、丹波石を張る現場にいろいろと連れて行ってもらい、見習いのようなことをさせて頂きました。
見習いと言っても、実際のお客様のところで丹波石をハンマーで切り、施工までさせて頂いていたので本当に貴重な経験をさせてもらえたと感謝しています。
丹波石を施工するのがおもしろくて、その様子を見てか、親方には丹波石をこれからも時間あるときにはやっていきよ、とよく言われていました。
そんな交流が2、3年続き、ただ年々竹岡農園も事業を増やし、ちょうどコロナが始まる頃には親方のところへ行けないくらい忙しくなっていました。
先日のご挨拶のときにも、丹波石をやっていくならストックの石を使えばいいとおっしゃってくださって、本当にうれしかったです。
ただ、丹波石のことはおもしろいし、好きでしたが、やはり一番の目的は親方と仕事できること、職人一筋で生きてきた人の息遣いを知ることが目的だったんだと話しました。
自分には農業の師匠が居ません。
笛路村に入ったときにずっとお世話をして頂いた恩人のT氏はいるのですが、T氏は師匠というより僕にとって親のような存在です。
農業は研修で栃木県の無農薬野菜農家へ行きましたが、栽培については自分で盗めと言われて栽培のところは行かせてもらえなかったので、本当に素人同然で丹波で独立をしたのです。
なので、ここまで開墾から無農薬・無化学肥料栽培で野菜を販売するところまで僕には明確な師匠がおらず、T氏が教えてくれる村での農の概論を頼りに独学というか農業の勉強もそんなにしていませんので、本当にセンスでここまでやってきました。
親方と初めてお出会いしたときの自分は何となく良い野菜が育ち、お客様にも評価されて少しいい気になっていた時期だったと思います。
そんな自分に一抹の不安を抱えていました。
農業をしていく上で、超えるべき、または目指すべき後ろ姿が無いのです。
何を頼りにこれからの百姓人生、良い野菜を探求していけばよいのかふわふわしていたんだと思います。
丹波石と無農薬野菜、ジャンルは違えど自然物を愛でることには違いありません。
親方のところへはSNSなどされていないにも関わらず、仕事のうわさを聞きつけて、仕事を身に来たり、庭師がよく訪問していました。
そんなときに僕にいつも言っていたのは、「自分が上手やとか、綺麗な仕事をしているとか、そんなん人が決めることやし、アピールせんでいい」と、そして「自分はまだまだなんです、まだまだやけど一生懸命やってるだけです」と気持ちの姿勢だけ伝えていればいい、と。
電動のグラインダーやカッターなど一切使わず、ハンマーだけで手作りしていく石を切る技術は本当にすごくて、庭師でも親方程綺麗に切れる人はほとんどいないんじゃないかと言う技術でした。
だけど、いつも謙虚であり、そして常に丹波石と向き合って愛でている姿を見れたことが僕にとっての宝物です。
昨年末に、丹波で百姓として独立して初めてついたお客様からご注文があり、野菜セットを送りました。
そして、「白菜、見事ですね。」とラインを頂いたとき、本当に嬉しかった。
売り上げが上がるとか、お客様の数が増えるとか、もちろん人も雇って経営していく以上そうしたことも重要ですが、それ以上にずっと購入していただいているお客様に自分が愛でる野菜を送って、それを本当に喜んで頂いているということに、感動できる自分で居られるのは丹波石の親方が居たからだと思っています。
年始に親方と久々に出会って、この人の現場に２、３年ちょこちょこ入れたことが自分にとっての宝物になっているんだと改めて認識しました。
今年で百姓になって15年になります。
たった15年と思えるのも、自分もまだまだだなと心底思えるのも丹波石の親方のおかげです。
親方ありがとう。
2人の写真を撮るのを忘れたので、適当な写真をアップしておきます。
