丹波 Life

「縁側」を作るに至った経緯

 今回も地元大工集団カネニ住建のお力を頂いて、農園に関わるすべての方に喜んで頂けるコンテンツ作りに取りかかっておりました。
ちょうど里山ようちえんふえっこの活動が1年経ち、保育士たちの休憩場所、子どもたちが落ち着いて過ごせる場所などを求められていたところでした。

 里山ようちえんは、妻の郁子が主導でやっている事業で、森のようちえん企画で自然の中で子どもを育て感性を伸ばすという教育になります。現在9名の子どもたちが通っていますが、毎日畑や山や川などデコボコしたところを走り回っているので、全体的にバランス感覚が非常に発達しています。体を器用に動かすことで、脳への刺激も多く、私自身毎日子どもを眺めながら、子どもの自然な成長具合に毎日驚かされています。

 子どもの純粋な魂に土も呼応するのでしょう。畑や野菜たち、木々もなんだか毎日嬉しそうに見えます。子どもたちが純粋に楽しんで育つエネルギーの周波数はすべてを幸せにしていきますね。

 さて、そんな子育て事業をさせて頂いていて、ソフト事業としてはとても素晴らしい事業ですが、拠点のフィールド作りは絶えず試行錯誤してきました。

秋冬野菜の芽吹き
里山ようちえんふえっこの広場(拠点)

里山ようちえんふえっこが大切にしている保育方針の一つに、毎日同じ場所に通って遊びの連続性を持たせるというものがあります。要するに昨日していた遊びを今日も続けるか続けないかは本人が決めて、続ける場合昨日とは違った設定や遊び方で物事を深めていくというものです。

例えば、木に登るのが楽しいと遊んでいたとして、次の日登園して同じ木に登ってみたらそんなに楽しくなかった、とか。逆に上り方を変えてさらに楽しくなったとか。登って飛び降りるのが楽しくなったとか、前の日には気づかなかった枝や葉で新たな遊びが生まれた…など、同じ遊びのコンテンツでも気持ちが変われば感じ方も変わります。

また同じ場所を拠点とするのには、子どもの「安心」も大きな理由のようで、毎日違う森に入ると常に新しい場所であるという刺激はありますが、安心して落ち着いて遊ぶということが出来にくくなるようです。

つまり、幼児教育において安心と冒険は両方必要なもので、単純に言えばその両方が備わった広場を作っていかなければいけないということです。


昨年の今頃は、ただ広場があっただけでしたが、ツリーに床を張って展望台を作ってみたり、単管でブランコや登り棒、屋上ベランダ、小屋などを作ってみたり、丸太を活用して構造物を創作してみたりして、子どもたちがどう使うのか、作ったものが子どもの遊びにどう影響するかなどを観察してきました。

この1年作ってきたもので、遊ぶ分には困らなくなってきました。
子どもにとっては、丸太が置いてあるだけ、石があるだけで遊び道具です。四季折々で変化する広場の草木も大きな刺激になっていると思います。
同じ場所に通うという意味での安心感も出てきたようで、この夏も散歩や川遊びなど連日違う場所に行って遊んでみては、丸1日広場でゆっくり自分たちで遊びたい日もあるようです。

そんな中今年の夏がありました。猛暑で30日間一切曇りも、雨もこないという期間です。農業をしていてもこんな夏はありませんでしたが、ずっと外で過ごしているふえっこたちも川へいったり、涼しげな場所を探しては山の中へ入っていっていました。
子どもの体力は底知れず、猛暑でも夏風邪をひきながらでも遊んでいましたが、大変なのはそれについて行く保育士の方でした。蜃気楼がゆらめく熱帯状態でも子どもは外へ出て行きます。簡易テントではもう間に合わない様子になり、ついに現場の方からしっかりした屋根のある場所が必要だという声があがったのです。

ふえっこの広場は古民家の農家民宿が併設してあり、どうしても落ち着いて本読みやお絵かきをしたいときは民宿を利用することもあったのですが、壁があるため外で遊びたい子どもが居たときに2人の保育士が別れて子どもにつかなければなりません。

また、農家民宿のご利用では部屋の中で過ごすというより、笛路村のロケーションを楽しむ民宿としてお客様にご利用頂いており、外へ出て見るロケーションを落ち着いて眺めていられる空間があればより喜んで頂けるなぁと感じておりました。

そうしたもろもろの課題や理想を追求した結果うまれたのが、竹岡農園の「縁側」です。

縁側の着工。基礎が終わり、大引きを据えて頂き、いざ床張りへ。
縁側ど真ん中より。

屋根があるだけではここまで楽にはならなかった。床やデッキがあるだけでも安心感が足りなかった。
ということで、屋根と床を両方つけて、半屋外・半屋内空間とすることにしました。

外へ出て、畑や広場でのんびり過ごすもよし、外の自然を感じたいけど、エネルギーが強すぎるときはこの縁側を利用するもよし、ゆっくり寝たい・閉じたいときは農家民宿花乃家で満喫するもよし、お腹がすいたら竹岡農園の野菜を使用した里山レストランでご飯を食べるもよし、身体の調子が悪いと感じたら酵素風呂でデトックスし、免疫力を高めて、また農家民宿で眠るもよし。です。

この縁側をもって農園サービスの主要なコンテンツがある程度完成したと思っています。

もちろん、来年は綿(オーガニックコットン)にもチャレンジしますし、川魚を復活させる釣り堀ゾーンも出来たりしますが、拠点がしっかりあってこその生産活動です。

今後この縁側を利用して様々な出会いが生まれると思うとわくわくしますね。

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